スピリチュアルな思想だけでは人としての成長に限界がある/コラム

　三年前、新型コロナの感染拡大で企業倒産が増えましたね。とくに旅館など宿泊業と飲食業で約4割を占め、資金繰りで行き詰まって倒産に至るケースがほとんど。企業倒産のピークは1984年の約2万件で、リーマンショックの2008年は約1万6千件でした。経営者は苦しいですが雇用側も地獄だと思います。「金運がよくなりたい！」誰もが、そう思っているはず。では、金運とはいったいなんでしょうか？

　結論から言うと【稼ぐ考え方】であり、それは【投資的思想】です。占い師であるぼくが、ビジネスにこだわることに違和感を覚える人もいるはず。なぜならば精神的な要素と物質的な要素が相反するものだと考えてしまうからです。しかし、こういった矛盾は、むしろ神秘学や運命学で説明した方がわかりやすいのです。

　たとえば古神道（こしんとう）には『霊主体従』と『体主霊従』という言葉があります。簡単にいうと、霊主体従は精神性を重視して、体主霊従は物質を重視しています。これはどちらに偏っても危険。中国思想の陰と陽の二元論とおなじです。光と影のように、互いに相反していながら互いに必要とする関係。精神と物質...この両方のバランス感覚が人を、より強くするのです。ですから、ぼくは占い師の仕事だけでなく、経営者として、またコンサルタントとしても活動しているわけです。

　あえてビジネスに、運命学的な意味を持たせるならまず苦しみを受け入れること。そして、幻想や妄想を取り払って、現実のみを客観的に見つめる。これはある種の《訓練》です。その目的は、精神的な成長であり、つきつめると『魂の向上』です。

　ぼくは２０代で、精神的な訓練を受けました。そして３０代で現実的な問題にぶつかり、人生での使命を見つけました。スピリチュアルな思想だけでは人としての成長に限界があります。ですから、言い訳やごまかしがきかないビジネスの世界に身を投じたのです。厳しい現実を、間の当たりにしました。

　その結果、自分の精神論や啓発思考がいかに甘いか思い知らされたのです。ビジネスをすると、商品や関わる人物の動きが気になります。調子の上がり下がりを見ては、「正解だった」のか「失敗だった」のかつねに悩むわけです。そこで、その人の『本当の人格』が見えてくるのです。その結果、人間の本質を瞬時に見分けられる眼力が身に付くというわけです。

精神世界とビジネス

この陰と陽のバランス感覚が、大不況時代を乗り越えるたったひとつの叡智なのです。