シリーズ紫微斗数14主星その4『武曲星のトリセツ』出版
シリーズ紫微斗数14主星 その4『武曲星のトリセツ』が出版されました。
ご購読されましたらどうぞレビューを書いて下さい!あなたのレビューが、自作への励みとなります。次は天同星ですが、すでに原稿は完成しており、いま廉貞星を書いています。
武曲の文字は『武将』と『楽曲』の組み合わせです。武が武人を意味するとすれば、曲という文字の意味は「まがる・まげる・折れまがる」など。また「変化のあるおもしろみ」を意味する曲芸や、音楽の「ふし」を指す楽曲など。つまり武曲は、ただ無駄に堅物なのではなく、優雅な魅力も備えている武人というわけです。あなたは「武士」と聞いて、いつの時代を思い浮かべますか?
鎌倉時代、室町時代、戦国時代、江戸時代…
意見が分かれそうですね。武士はとても長いあいだ、日本の支配階級として権力を持ち続けていました。平安後期に武士は、それまでの支配階級だった貴族に代わって実権を持つように。やがて鎌倉幕府が誕生し、日本社会の中心的存在となります。平安時代に台頭した武士の起源は諸説あります。貴族に支配される都に対し、地方では有力な農民が豪族として力をつけ、彼らが自衛のために武装するようになりました。
もともと都には、武芸を生業とする家系に生まれ武の専門職として朝廷に仕える下級貴族がいたのです。トラブルが起こった地方へ、都は武力に優れたグループを派遣し、地元の豪族を平定役に任命しました。派遣されて来た彼らは、土着化して独自の勢力を築くことも。これらの条件が合わさって、武士が誕生したわけです。また、このころ武士は「兵(つわもの)」「武勇之人(ぶゆうのひと)」と呼ばれ、武家は「兵の家」「武芸の家」とも言ったようです。
もともと武士の身分はさほど高くありませんでした。武士の地位向上は平安中期、『平将門の乱』に代表される、地方で力を持った武装集団の反乱がはじまりです。将門の乱を治めた藤原秀郷が従四位下の位を与えられ、朝廷での地位がだんだん上がり、支配階級になるにつれて武士は変化します。朝廷では武官と文官の役割が分かれていましたが、鎌倉幕府のような武家政権では文官的な役割を担う武士も誕生しました。
また武士の家系でなくても、幕府や武将と主従関係を結んで武士の仲間入りを果たすひとも現れました。そして江戸時代、天下太平の世になって戦がなくなると、武士の役目は政治となります。武士は必ずしも武芸に秀でているわけではなく、武家出身じゃないひとが実務能力などに優れたことから武士の身分を与えられた例もあります。
紫微斗数における武曲は五行論で『金性』に属します。金性は金星でもあり、西洋占星術では愛と性と美の女神ヴィーナスです。心を動かす強い感情を管理するとされ、親しいひとたちとの恋愛もプラトニックな関係のみならず、肉体的な欲望、自尊心そして、お金や物質的な世界に影響を与えるのです。東洋占術の代表である『九星気学』で金性は、六白と七赤があります。
そのうち武曲は、後者の七赤金星と縁が深いと考えられます。六白の金が「原石」を表しているのに対し、七赤の金は「金銭」や「加工された金属」です。金銭からは経済や投資が連想され争い・勝負・循環・援助といった意味を持ちます。ギャンブルなどの賭け事・贅沢・潤い・散財などのイメージもあります。加工された金属とは、装飾品などの貴金属だけでなく、ノコギリ、包丁、フォーク、スプーンなども含みます。貴金属からは恋愛や宝、包丁やスプーンからは食事が連想されます。
さらに七赤は西に位置するため、風水では『白虎』とされ、理想的な地形として、家の西側に大道路があることを意味します。白色の虎は、君主に徳があると現れる霊獣であり、中国の天文学『宿曜経』では二十八宿のうち、西方に当たる七宿の総称です。西方七宿の星群が虎の形をしている、と考えたところから命名されました。
このように武曲は、戦い・財政・愛情などを司るため、強さと美しさの両面を兼ね備えている星なのです。
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